2016年1月16日

投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2015が決定-低コストと特徴あるコンセプトが人気



投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2015の結果発表会&表彰式が15日に日比谷コンベンションホールで開催されました。いやー、私も参加したかった。よっぽど仕事を休んで東京まで遠征しようかと思ったのですが、こんなに日に限って労働組合の仕事が。そんなわけで投票はしたけれども、結果発表会には参加できませんでした。ただ、Twitterなどで多くの投資ブロガーさんがリアルタイムでツイートしてくれましたし、今回もすぱいくさんが素晴らしい速記録をアップしてくれているので、現地の様子がよくわかります。

【速報】投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2015(第1部 トークセッション) #foy2015(1億円を貯めてみよう!chapter2)
【速報】投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2015(第2部 結果発表) #foy2015(同上)

今回もなかなか興味深い結果となりました。これを見ると、最近の投資信託やETFに対する投資ブロガーの評価軸が非常によくわかります。低コストと特徴あるコンセプトのファンドに人気が集まっているというのが鮮明でした。

投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2015の結果は以下のようになりました。カッコ内は前回順位です。

1位  <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(1位)
2位  三井住友・DC全海外株式インデックスファンド(初登場)
3位  バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(2位)
4位  セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(3位)
5位  ひふみ投信(6位)
6位  eMAXISバランス(8資産均等型)(5位)
7位  結い2101(4位)
8位  世界経済インデックスファンド(7位)
9位  ひふみプラス(16位)
10位 iシェアーズMSCI 日本株最小分散ETF(初登場)
11位 セゾン資産形成の達人ファンド(11位)
12位 <購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
13位 SMTグローバル株式インデックス・オープン(8位)
14位 野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型(20位)
15位 SMTダウ・ジョーンズ インデックスオープン(14位)
16位 eMAXIS 新興国株式インデックス(10位)
17位 トレンド・アロケーション・オープン(初登場)
18位 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(初登場)
19位 <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
20位 ニッセイ日経225インデックスファンド(9位)

やはり<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドが強かった。また、三井住友・DC全海外株式インデックスファンドが初登場でいきなり2位に入ったのも印象的です。やはり昨年後半にインデックス投資家を歓喜させた三井住友アセットマネジメントによる確定拠出年金(DC)専用ファンドの一般販売開放と、それに対抗する形で実施されたニッセイアセットマネジメントによる<購入・換金手数料なし>シリーズの信託報酬大幅引き下げのインパクトが大きかったということでしょう。とくにニッセイAMは、委託会社だけでなく受託会社と販売会社の報酬も引き下げることで信託報酬を引き下げたというのは、日本の投資信託業界における快挙だと思います。

こうした結果が示すのは、インデックスファンドにおける付加価値とは、やはりコストの安さに止めを刺すということ。通常のインデックスファンドの場合、コストの安さで負けてしまうと、どれほど実績があってもインデックス投資家の支持は得られないということです。これは、昨年までトップ10の常連だったSMTグローバル株式インデックス・オープンが13位にまで順位を落としていることが象徴的でしょう。ちなみに、さらに低コスト路線を追求しているDIAMアセットマネジメントの「たわらノーロード」シリーズは、設定が投票締め切り後だったため投票対象ファンドとなりませんでした。しかし、いまの調子だとおそらく来年はかなりの人気を集める予感がします。

そんななか、コスト面で不利と思われがちなバランスファンドの健闘も目につきます。とくにセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドとeMAXISバランス(8資産均等型)、世界経済インデックスファンドは順位も前回とほぼ変わらずにトップ10入り。コアな支持者が存在することをうかがわせます。これらファンドは、やはり時価総額加重平均やGDP比率による国際分散投資、あるいは8資産均等配分といったユニークなコンセプトに対する熱い支持があるのです。

ひふみ投信とひふみプラス、そして結い2101といったアクティブファンドがトップ10に入っているのも、やはり特徴のあるコンセプトが支持されているからです。これはセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドにもあてはまりますが、直販投信の強みを生かし、運用会社・運用責任者と受益者の強いパートナーシップも上位進出の原動力だったといえそうです。

また、トップ10にETFが2本しかないのも興味深い。やはり、インデックスファンドの低コスト化がここまで進めば、とくに海外ETFの優位性が徐々に失われていることを感じました。そんななか、10位にiシェアーズMSCI日本株最小分散ETFが入っているのも面白い。最近に上場したばかりのETFですが、すぐさまトップ10に入るだけの人気を集めてしまうあたりに、投資ブロガーのレベルの高さが表れています。

いずれにしても今回の結果を見ると、コスト面で優位に立てないファンドは、よほど特徴のあるコンセプトを持っていないと、投資家の支持を得られないということがはっきりしました。このあたりは現実を、すべての運用会社と販売会社はよく理解しておくことが大事でしょう。

ちななみに私自身の投票ですが、世界経済インデックスファンド、eMAXIS新興国株式インデックス、ひふみ投信に投票しました。世界経済インデックスファンドは1本で新興国を含む世界の株式と債券に分散投資でき、しかも配分がGDP比例というコンセプトが非常に面白く、自身の積立のコア商品となっています。eMAXIS新興国株式インデックスは、その登場によって気軽に新興国投資ができるようになったという歴史的意義を評価しました。そして、ひふみ投信は運用哲学への共感とパフォーマンスの高さから選んでいます。

ちなみに、ひふみ投信の藤野英人社長が結果発表会でも物議をかもす発言をしたようです。これは藤野氏の悪い癖です。恐らく藤野氏は現在の日本の運用業界でもっとも理想主義の際立つ人物ですが、理想主義者の悪い癖として批判対象への言辞がきつすぎるケースが多い。それがあらぬ誤解を招いています。ようするに子供っぽいのです。ただ、その子供っぽさは日本のように業界内での相互批判が希薄な社会では貴重だと思っています。

最後に、運営委員会の皆さま、本当にご苦労様でした。

【追記】
カン・チュンドさんにブログで紹介していただきました。過分なお褒めの言葉もいただき、恐縮しています。

『投信ブロガーが選ぶ! Fund of the year 2015』の結果発表!(カン・チュンドのインデックス投資のゴマはこう開け!)

関連コンテンツ