2017年1月18日

ポートフォリオ組み換えで久々のアウトパフォーム―iTrust世界株式の2016年12月の運用成績



先日開催された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」の表彰式でも少し話題になってのですが、最近では低コストなアクティブファンドに対する関心も徐々に高まってきました。そんな低コストアクティブファンドとして私も保有しているピクテ投信投資顧問の「iTrust世界株式」の2016年12月次運用報告が出ましたので定例ウオッチです。12月の騰落率は+6.28%、参考指数であるMSCIワールド・インデックスの騰落率は+6.01%でした。久しぶりに参考指数をアウトパフォームしています。昨年11月から相場のキャラクターが大きく変化したことから、iTrust世界株式もポートフォリオを若干組み換えていました。その成果が少しずつですが発揮されてきたと言えそうです。

運用報告書によると2016年12月は米国の経済指標が改善したことや欧州中央銀行による金融緩和継続の発表などもあり、総じて上昇基調で推移しました。業種別ではOPECによる原油減産合意などが好感されエネルギー、電気通信サービス、金融などが上昇しています。ヘルスケアや一般消費財・サービス、資本財サービスも上昇しましたが、こちらは市場全体の上げ率には届いていません。

iTrust世界株式の12月末段階での組み入れ上位銘柄を見ると、11月から顔を出しているGEやハネウェル・インターナショナルといった資本財銘柄に続いて、JPモルガン・チェースが登場しました。新たに金融銘柄も積極的に組み入れていることがうかがえ、明らかに“トランプ相場”へのシフトを進めているようです。こうしたポートフォリオの組み替えが今後、どういった成果を出すのか興味深いところです。

さて、iTrustシリーズの魅力の一つに、受益者専用サイト「iInfo」を通じてピクテの機関投資家向けレポートが個人投資家にも配信されることがあります。このほどマンスリーレポート「Barometer」2017年1月号が配信されました。相変わらず読みごたえがあります。受益者専用レポートなので内容の詳細は書きませんが、1点だけ興味深い記述を紹介します。ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任し、保護主義的政策を実行することによる世界経済への悪影響が懸念されているわけですが、ピクテではこの問題を次のように分析しています。
2017年の大きなリスク要因はトランプ氏の政策が世界の貿易に与えるインパクトの大きさです。トランプ氏は輸入品に関税を課すと述べていますが、その政策は骨抜きにされ、対象は特定のセクターおよび国に限定されると見ています。副作用は限定的と予想されます。
はたしてこの予想が当たるのかはわかりませんが、何となく現実の政治の世界のあり様に対して覚めた目で見ている表現が、いかにも百戦錬磨の欧州の運用会社らしくて興味深かったのです。

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