2015年10月7日

下げ相場で粘り腰を発揮-ひふみ投信の2015年9月運用成績

私が保有するひふみ投信の9月次運用レポートが出ました。ひふみ投信の9月の騰落率は、-5.18%でした。参考指数のTOPIX(配当込)騰落率は-7.51%でしたから、下げ相場の中で粘り腰を発揮し、下げのなかでも参考指数を上回る運用成績を維持したといえそうです。下げ相場のなかでも下げ幅を少なくするというのはアクティブ運用では非常に大事なポイントであり、今後の回復・上昇局面に期待が持てるといえるでしょう。また、10月1日付でレオス・キャピタルワークスの藤野英人取締役最高運用責任者が代表取締役社長に就いたことも紹介されています。10月の運用報告会「ひふみアカデミー」でも冒頭で藤野新社長から挨拶がありました(「ひふみアカデミー」の様子はYouTubeの公式アカウントにもアップされています)。




月次運用レポートによると、引き続きチャイナショックや原油安の影響で下げ相場が続いた9月でしたが、外部環境の影響を受けづらく、独自の成長力を持つと見ている銘柄を買い増ししたとして次のようの紹介しています。
具体的には株価が調整した局面で、工具・建設資材などのネットストアとしてシェア拡大が続く MonotaRO(3064)や、構造改革により収益性や資本効率の改善が期待されるTSIホールディングス(3608)などの買増しを行ない、他にも数銘柄を新規に組み入れました。
下げ相場で割安になった銘柄を買い増しできるのは、ファンド解約がそれほど増えないからでしょう。このあたりに長期投資を標榜するひふみ投信と受益者のパートナーシップの強さが優位に働いています(ちなみに私も少し追加投資しました)。新規組入れ銘柄については、とくにMonotaROがユニーク。運用報告会で藤野社長も指摘していましたが、有望だけれども割高になっていて手を付けづらかった銘柄にエントリーできたのは、下げ相場のよかった点かもしれません。

今後の運用については、引き続き厳しい相場環境が続くと見ているようで、かなりデフェンシブな運用方針を取るようです。下げ幅を抑制するために次のような戦略を採用するとのことです。
1)多くの機関投資家が好むような銘柄(例えば国際優良銘柄等を中心とした大型株)の保有は控える→ これらは、下げ相場の時に一斉に売られる可能性が高いため
2)上記1)に該当する銘柄は、下げ相場で株価が下落した時に買う→ その後の相場反発期に株価が勢いよく上昇することが多いため
3)成長株に投資をする→ 決算で好業績が証明されると、下落相場時でも投資家に選好されて株価が上昇しやすいため
4)的確に現金を持つ→ 下げ相場で現金資産を保有していることは、下落相場から資産総額を守る点でも、株式の追加購入という攻めを行なう点でも良しといえます。
5)相場の下落局面でも株価が上昇するような業績が期待できる会社への投資→ 下げ相場の中で逆行高を示すような銘柄の組入は、ポートフォリオ全体の成績向上に大きく寄与するため
この戦略が成功するかどうかはわかりませんが、まずはお手並み拝見といったところです。ちなみに、中国の景気問題に関しては「チャイナショックは単なる株価の調整というよりも、中国の余剰設備が解消していくプロセスであると認識しています。よって、設備の余剰感が消えるまでは中国の景気や株価の回復は難しいだろうとみています」としていますが、この分析には個人的に同意します。私もある業界の中国の現状をよく知っていますが、とにかく過剰設備がすごい。個人的には構造調整に数年かかっても不思議ではないと見ています。

先だって発表されていた中間運用レポート恒例の組み入れ銘柄紹介ですが、今回はダブル・スコープでした。リチウムイオン電池用セパレーターの製造メーカーです。今回も渋い銘柄です。セパレーターというのはリチウムイオン電池の基幹部材のひとつです。こういった基幹部品メーカーというのは、当たれば強い。ひふみ投信がポートフォリオに組み入れたときには意識していなかったと思いますが、ここにきてVWショックでディーゼルエンジンに対する風当たりが強まっていますので、環境配慮型自動車分野でリチウムイオン電池を使うハイブリッド車や電気自動車への注目がにわかに高まってきました。このあたり、このファンドのファンドマネージャーは“持っている”のかもしれません。

※ひふみ投信は、銀行や証券会社といった販売会社を通さない直販ファンドです。ネットから無料で口座を開設することができます。⇒ひふみ投信

※ひふみ投信と同じマザーファンドに投資する「ひふみプラス」はSBI証券 、カブドットコム証券、楽天証券、マネックス証券など主要ネット証券や地方銀行などで買うことができます。

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