2015年12月2日

マネックス・セゾン・バンガード投資顧問は良質のラップ口座を提供できるか



すでに一部新聞報道にあったように、マネックスグループ、クレディセゾン、バンガードの3社が投資一任運用会社、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問を設立したと発表しました。

マネックス、クレディセゾンおよびバンガードグループが共同で投資一任運用会社を設立、2016年春に事業開始予定(マネックスグループ)

プレスリリースにあるように、2016年春から事業を開始するそうです。30日にはマネックスグループの松本大社長らが記者会見を開いており、その内容も報道されています。

マネックス松本社長「新たな投資家向けサービス作る」(「日本経済新聞」電子版)

松本社長が説明するように、新会社はラップ口座(投資一任口座)を運営するとか。金融リテラシーの高い人の間では、いろいろと評判の悪いラップ口座ですが、はたしてマネックス・セゾン・バンガード投資顧問は、良質のラップ口座を個人投資家に提供できるのでしょうか。

私は、このブログでも何度かラップ口座について言及し、かなり厳しいことを書いてきました。一方で、ラップ口座という考え方自体は否定しないとも強調してきました。投資ブログを書いたり読んだりしている人からすれば信じられないことでしょうが、世の中の多くの人は自分で金融商品のコストを調べたり、最適なアセットアロケーションについて考えたりすることはできません。そもそも考えたいとも思っていないものです。それどころかネット証券での取引やネットバンキングすら面倒だと感じる人は少なくありません。

そんな人が投資をするとなると、よくわからないまま複雑な毎月分配型ファンドなどを金融機関に薦められ、これまたよくわからないままに高額の手数料を支払って商品を購入するケースが多いというのが現実です。それに比べれば、きちんとしたコンサルティング機能があり、本当に最適な資産配分や商品選択を行ってくれるなら、ラップ口座という仕組みは手数料を支払っても十分に存在価値があります。

ただ、いくら理念が正しくても、具体的なサービスや商品の質が劣悪というのが日本の金融機関の弱点です。現在、メガバンクや大手証券会社で提供されているラップ口座は、あまりに手数料が高すぎる。その上、ラップ口座で提供される商品内容も不誠実なものが多いのです。だから、良心的な専門家の多くも「ラップ口座は止めておけ」と声をそろえるといった状態になってしまいました。
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ラップ口座は中身が不誠実すぎる

そういった現状を考えると、マネックス・セゾン・バンガード投資顧問のラップ口座は、幾分か期待が持てます。マネックスの松本社長も次のように強調しています。
――どのくらい低コストにするのか。イメージしている顧客層と販売方法は。
「他のラップサービスに比べてはるかに安くするが、具体的にはこれから決めたい。対象は一般の個人で、1万円といった投資信託並みの最低投資金額にする。ただし中身もプロから見ても素晴らしい品質にする。結果的に法人顧客も出てくるだろう。販売方法はオンラインに限らず、銀行や他の証券会社を経由しても良い。ただ低コストが阻害されることはあってはならない」
当然、運用商品はバンガードのインデックスファンドやETFが中心になるでしょうから、コストが年0.1%以下のものも用意されるでしょう。あとはラップ口座の手数料をどの程度に設定するかでトータルコストが決まってきます。この点に関して、インデックス投資ブロガーの吊られた男さんが極めて適切な指摘を行っています。

「マネックス・セゾン・バンガード投資顧問」登場 - ラップ口座に切り込む(吊られた男の投資ブログ(インデックス投資))

私もまったく同感。トータルコストで年1%を切るようなら、ラップ口座として極めて良心的です。これなら投資に関する知識も関心もない人でも、まずまず納得も得心もでき、支払っても構わない手数料水準といえるでしょう。その意味で、はたしてどの程度の低コストでのラップ口座を提供するのか、非常に興味のあるところです。

一方、不安な点も少なくありません。それはマネックスグループが、あくまでネット証券を主体にしているということです。はたしてラップ口座の特徴である充実したコンサルティング機能をオンライでどこまで実行できるのか。フィンテックの活用を進めるとも言っていますが、それでもやはりネットを使っての販売手法となります。しかし、そもそもオンラインで取引できる人は、ラップ口座など必要としないレベルの個人投資家のはず。ラップ口座をやる以上は、やはり対面式の販売が必要不可欠に思えます。

だから、松本社長も「販売方法はオンラインに限らず、銀行や他の証券会社を経由しても良い」と言っていますが、そうなると経由する銀行や他の証券会社にも手数料を支払わなければなりません。果たして本当に「低コストが阻害されることはあってはならない」という理想を貫徹できるのでしょうか。

こうした課題も含めて、今回の3社の取り組みは非常に気になる。具体的なサービス内容は、まだなにも発表されていませんから、いまの段階であれこれ言うことはできません。引き続きマネックス・セゾン・バンガード投資顧問の動きに注目してきたいと思います。
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