2016年6月22日

“Brexitトレードに要注意”とはいうものの…



いよいよ英国のEU離脱問題を判断する国民投票が現地時間23日(日本時間24日)に実際されます。私はFXの趣味はないのですが、なぜか各証券会社でFX口座だけは開いているので、最近は盛んに24日のトレードに関する注意喚起のメールが届きます。まあ、普通の投資家はわざわざこんな難しい局面でポジションを建てるとは思えないのですが、アグレッシブな投機家からすれば千載一遇のチャンスなのかもしれません。「Brexitトレードに要注意」とはいうものの、やっぱりチャレンジする人はするんでしょうね。いずれにしても為替相場や株式相場には影響必至なわけで、投票の結果がどうなるのかは弱小資本の個人投資家としても大いに気になるところです。

世論調査の結果などを見ると、あいかわらず離脱派と残留派の比率は拮抗しているので、どっちに転んでもおかしくない情勢です。こういうイベントを手掛かりに相場を張るというのは、せんじ詰めれば丁半博打であり、投資ではなく投機であると指摘しているのが豊島逸夫さんです。

日本時間24日、市場に何が起きるか(豊島逸夫の手帖)

ただ、裏を返せば投機家からすればこんなチャンスはめったにないわけで、恐らく一部の投機家を大金持ちにし、破産させるのでしょう。そういうチャンスをうかがっている投機家に対して「Brexitトレードに要注意」と言ったところで、せんないことなのかもしれません。ギャンブルにはギャンブルの美学があり、ある種の批評性もあるわけですから、むげに否定もできないのです。

それじゃあ、普通の個人投資家は処するべきなのかという問題があります。とりあえずポジションを手仕舞って、様子を見るというのもひとつの判断です。ただ、そうすると仮に残留派が勝利し、株価などが上に飛んだときに切ないものがある。そこから買い戻しても、たぶん間に合わないでしょう。そうなると結局、とくになにもしないという平凡な手が、意外と好手になるかもしれません。

よくよく考えると、市場にはつねに様々な不安材料が存在しています。そんな不安材料を織り込みながら相場は変化していくものでしょう。だからこそ「株価は不安の壁を駆け上る」という言葉もあるわけです。一切の不安材料が見当たらない相場環境があれば、それはかえって深刻な危機の前触れかもしれません。勢極まるは衰の起こりともいいますから。

なんだかとりとめのないことを書いてしまいました。なぜとりとめないことを考えたかというと、今回のBrexit問題が相場に及ぼす影響など、しょせんはとりとめないものに感じるからです。それよりも、なぜBrexitのような問題が起こったのかという社会経済的な問題について投資家は考えるべきです。

それは、資本主義の大前提である“Sympathy”が世の中から弱まっていることかもしれません。そう考えると、Sympathyの意味を明確に捉えていたアダム・スミスを生んだ英国でBrexitのような問題が起こるのは、ある種の歴史的皮肉のような気がするのです。(この問題は、いずれ稿を改めて考えてみたいと思います。)

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