2016年7月15日

含み損の活用法―税金を払わずにスイッチングができました



ここ数日、急激に相場が好転し、円高も一服したことで保有する投資信託や個別株の含み損が解消した人も多いのではないでしょうか。含み損はしょせん含み損でしかないのですが、やはり口座の数字にマイナスが並ぶのは気分の良いものではありません。ただ、含み損には活用法もあります。それは、含み損があるうちにファンドを売却し、その代金で別のファンドに乗り換えてしまえば税金が発生せずスイッチングができることです。そこでBrexitショック直後から不要になったファンドをいくつか売却し、その代金で引き続き保有を続けるファンドを買い増しすることでポートフォリオの整理整頓を行いました。

インデックス投資を始めたころは、いろいろな商品が気になっていくつものファンドを遊び的に購入してしまうというのはよくあることです。私自身もスポット的に購入したり、運用成果を実験的に確認するため少額だけ積立投資しているファンドが結構あって、ポートフォリオが乱雑になっていました。いつか整理しなければと思っていたのですが、含み益があるときに売却すると税金が発生して損。面倒くささもあり、ついついほったらかしになっていたのです。

そんなときにBrexitショックが起こり、保有ファンドの多くが含み損となりました。これはチャンスとばかりにスイッチングを進めたのです。例えば私はi-mizuho東南アジア株式インデックスをスポットで買い、中国、韓国、台湾のウエートを引き下げながら新興国株式インデックスファンドに投資する戦略を実践しています。そろそろリバランスのために買い増しの必要がありましたので、以前に遊びで買ったまま放置してたある豪州債券ファンドを売却してi-mizuho東南アジア株式インデックスの買い増し資金に充てました。

そのほかにもいくつか少額保有したまま放置していたファンドがありましたので、これらも売却し、積立投資のコア商品である世界経済インデックスファンドの買い増し資金に充てました。いずれも含み損状態だったので税金を発生させずにスイッチングできたことになります。ちなみにバランスファンドをポートフォリオのコアに据えておくと、今回のようなケースに便利です。いちいち細かい配分を計算せずともバランスファンドを買い増すだけで、資産配分は自動的に設定されますから。おかげでポーフォリオが少しスッキリとしてきました。

最近は新たに信託報酬の安いインデックスファンドが相次いで登場し、積立商品を変更するケースも増えています。この場合、以前に積み立てていたファンドは引き続き保有することが多いのですが、もしそれが含み損になっているなら、売却して現在積立ているファンドを売却金額と同じだけ買い増してしまうことで、やはり課税されずにスイッチングできます。これは回転売買とはまったく意味が異なります。あくまでスイッチングしているだけです。そう考えると、含み損は保有商品を乗り換えるチャンスでもあるのです。なにしろ投資信託はインデックスファンドといえども保有しているだけで信託報酬が日々かかりますので、課税コストを回避できるなら、少しでもコストの安い商品に乗り換えた方がいいのは分かりきった話です。

ちなみに個別株に投資している場合でも含み損を活用するのは基本的な節税テクニックです。例えばある保有銘柄を利益確定で売却したい場合、あえて含み損になっている別の保有銘柄を売って損失確定する。そうすると利益確定のために売却した銘柄の売却益も損益通算されて税金を抑えることができます。損失確定のために売却した銘柄は、あとで同じ金額分だけ買い戻してしまえば、売却益に対する課税だけを回避したことになります(そのかわり、買い戻した銘柄を後日売る場合、税金が高くなる可能性がありますが)。

そんなわけで、含み損には含み損の活用方法があるということ。あくまで感覚的な話ですが、リスク資産を保有する以上は、すべての資産が含み益になる状態というのはめったにありません。なんらかの含み損はつねに抱えざるを得ないものです。だったら、含み損もうまく活用して、少しでも投資効率を引き上げることを考えれば、含み損もそんなに悪いものではないと思えてくるかもしれません。

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