2017年9月5日

不動産屋と銀行のアパートローンも無茶しすぎると国家権力に叩き潰されるよ



一部の投資クラスターや不動産クラスターの間では早くから「危ない、危ない」と言われていた銀行ローンと不動産開発業者のサブリース契約を組み合わせた個人によるアパート経営ですが、いよいよ一般メディアでも騒がれ始めました。

絶対儲かるといわれたアパートローン「私はこうして破産した」(現代ビジネス)

案の定としか言えないのですが、それでも記事を読むと嫌な気分になります。不動産屋と銀行がグルになって個人をハメ込んでいる様子がありありと目に浮かぶから。欲をかいた契約者が悪いともいえるのですが、それ以上に個人と専門業者の間にある埋めがたい情報の非対称性を利用している様は下品としかいえません。ただ、不動産屋や銀行もあまり調子に乗って無茶していると、そのうち国家権力に叩き潰されるよ。

この問題のスキームは分かりやすく、不動産開発業者が個人に「ウチでアパートを建てれば、賃料を固定で保証します」というサブリース契約で勧誘して、建設費は紹介した銀行からほぼフルローンで借り入れさせるというもの。個人は家賃収入が老後の副収入などになると期待するわけですが、いざアパートが建つと思い通りに入居者が集まらない。するとサブリース契約を結んだはずの不動産屋が契約書に小さく記載された特約をたてに賃料を引き下げてしまうというものです。そうなると個人にはローンの支払いが重くのしかかり、最後には自宅まで売却して借金を返さなければならなくなる。

もちろん不動産屋も銀行も不法行為をしているわけではありません。そもそも契約内容をよく理解せずにアパート投資してしまった個人が迂闊なのですが、こういった専門業者と個人の間にある埋めがたい情報の非対称性を利用したビジネスというのは、やり過ぎると大変なことになります。ようするに社会問題になる。そして、いったん社会問題になると法的責任をクリアしていても、"世間"は道義的責任を追及し始めます。だから不動産屋と銀行も、あまり無茶をしてはいけないのです。

なにより社会問題になったときに一番怖いのは、国家権力が登場することです。そもそも国家権力の最大の目的のひとつは社会秩序の維持です。だから、社会秩序の維持を妨げると判断したものに対しては、本気で叩き潰しにくる。規制や法律なんかは国家権力からすれば簡単に変えることができるわけですから。

以前、商品先物会社が個人に対するハメ込みを盛んにやっていたことがありました。あまりに無茶をするので当局も再三、業界に対して注意していたのですが、業界はそれを無視した。これが当局の逆鱗に触れ、不招請勧誘が禁止されるなど規制が一気に強化されるなどでリテール事業が事実上不可能になったことがあります。それ以来、商品先物業者は奈落の底に落ちました。

同じことがアパートローンでもありえるのでは。「現代ビジネス」の記事ではアパートローンに力を入れている銀行の名前がいくつか挙がっていますが、やはり調子に乗っていると、かつての商品先物業者の二の舞になるのではと老婆心ながら心配します。すでにお上の怒りもかなり溜まってきているようですから。

※私はアパートを含む不動産投資を個人がやることを否定はしません。きちんとやれば、不動産はじつに意味のある投資分野です。でも、少なくとも大きなお金を投じる時には、契約書を一字一句確認する慎重さが必要。それができない人は不動産投資をやる資格がありません。そして、不動産投資よりも過剰な借り入れが危険だということを強調しおきたい。個人は法人は違う。法人にとって借り入れは有意義なケースが多いですが、個人にとって「借金は悪」となる場合が多いという常識を持つべきなのです。
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