2018年3月20日

日本がいつまでもデフレだと思ったらえらい目に遭うかも―日本経済、9年ぶりに需要が供給を上回る



非常に気になるニュースが入ってきました、日本経済の需給の差を示す2017年の需給ギャップが0.4%となり、リーマン・ショックの起きた08年以来9年ぶりに需要が供給を上回る「プラス」に転じたそうです。

日本経済、9年ぶりに需要が供給上回る 17年の需給ギャップ、デフレ脱却の道のり確実に(SankeiBiz)

これは意外と大きなニュースでは。日本は長らくデフレに苦しんできたわけですが、どうも状況が変わりつつあるのかも。日本がいつまでもデフレが当たり前だと思っていると、えらい目に遭うかもしれません。

記事によると、17年の実質GDPは531兆4042億円で、供給力を示す潜在GDPは529兆円程度となり、需給ギャップは16年のマイナス0.3%からプラス0.4%に転じたそうです。需給ギャップというのは国の経済の総需要と供給力の差であり、総需要が供給力を上回るプラスの場合は物価が上がるインフレ傾向を示し、逆に下回ればマイナスで物や人が余るデフレの傾向を示します。

つまり需給ギャップがプラスに転じたというのは、日本経済が少なくとも統計の上ではデフレ状態から脱してインフレ傾向を示しているということです。これには専門家も注目しています。
需給ギャップがプラスに転じたことについて、明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「エポックメーキング(画期的)だ。景気回復が絶好調であることを示している」と評価し、デフレ脱却への道のりが確実になりつつあるとみる。
私もこの結果を軽視すべきではないと思う。私は本業の方で、ある商品相場の市況レポートのようなものを書く仕事もしているのですが、相場の先行きを考える場合、最も重視する材料は需給バランスです。相場に影響を与える材料は様々なあれど、需給バランスを超えるような材料はありません。それほど価格決定において需給というのは決定的な要素なのです。

こうした状況は資産運用の戦略を考える上でも重要な意味を持ちます。デフレ経済の下では貨幣の実質価値は上昇しますから、資産運用においても現金を保有するのが最も有利になります。だから、日本でデフレが続く間、ひたすら現金への選好を強めた日本人の判断は極めて合理的だったのです。ところが経済がいったんインフレに動き出すと、貨幣の実質価値は低下していきますから、現金だけを保有するというのは、かなり損な選択肢になります。

では、インフレに対抗できる資産が何かといえば、これは昔から相場が決まっていて、株式に他なりません。なぜ株式がインフレに対抗できるのかといえば、物の値段が上昇すれば企業の売上高も増え、たとえ利益率が従来と同じでも収益の絶対額は増えます。当然、企業の純資産も増加します。すると、単純にその企業の株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)が従来と同じでも、インフレによって企業の収益や純資産の絶対額が増えた分だけ株価も上昇することになります。これが「株式はインフレに強い」ということのメカニズムです。

そして、これは資産運用がなぜ必要なのかという問題を思い出させてくれます。そもそも資産運用というのは、将来のインフレに対抗して自分の購買力を維持することが最大の目的なのです。だから、日本がインフレ傾向に突入するということは、それこそ本当の意味で株式投資など通じた資産運用の必要性が出てくることを意味します。

ここ長らく日本で特段の資産運用が必要と意識されなかったのは、たんに日本経済がデフレだったかからに過ぎません。しかし、需給ギャップのマイナスが解消されたことで、いよいよインフレ時代が始まってもおかしくないのです。いつまでの日本がデフレのままだと思っていると、えらい目に遭う可能性が出てきました。それは、すべての日本人が改めて資産運用の必要性について真剣に考える必要に迫られることを意味すると言えるでしょう。

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